視野を広げ、性格改善した結果、パニック障害、過呼吸が完治して、恐怖の対象でしかなかった飛行機で快適な旅行を楽しめるようになった方から。

私の症状は、パニック障害でした。初めてこの症状が出たのは、一人でオーストラリアで飛行機に乗っていた時です。

隣に座っていたスイス人の男性と話している時に彼が、飛行機に乗るとパニックになる人の話をしたのがきっかけです。

言われたことをそのままイメージしてしまい、外に出たいのにあと3時間は出られないと思うと、急に息が出来なくなり、手足が震え、過呼吸になりました。

初めてのことで「死ぬかもしれない・・・」と言う恐怖もありました。その時はなんとかその場を乗り切りましたが、それ以来飛行機に乗ることが怖くなりました。

そのことをイメージするだけで手足が震え、息苦しくなります。

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また、ぎゅうぎゅうの人ごみの中心(簡単には外に出られないところ)に行くことも怖くなりました。

日本にいた時は心療内科に行きましたが、確実に治ったという自覚はなく不安でしたが、普段の生活にも支障をきたすこともありませんでした。

それからイギリス人と結婚をし、イギリスに住むことになり、どうしても飛行機を避けられない状況になりましたが、病院からもらった睡眠薬と安定剤で飛行機に乗ることが出来ました。

乗れると言ってもリラックスできず、常にそのことが頭の中にあるのにそのことを考えるとパニックになりそうで怖く、それに気づかないフリをする状態でとても辛かったです。

問題は飛行機だけだと思っていましたが、イギリスでは地下深く狭い地下鉄に乗ることも怖くなり、一人で知らない場所にいる時も、不安で息苦しくなるようになりました。

毎日の生活の中にいつも不安が付き纏うようになり、どうしてもこの状況を何とかしたいと思い、治療を始めることにしました。

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松尾先生とのセッションの初日に、私の症状は対人恐怖から来るものだという話を聞いて、とても驚きました。なぜなら私は自分のことを、人見知りしないで初対面の人とでも誰とでも仲良くなれると思っていたからです。

だから私は、先生が間違っていると反論して怒りました。認めることなんてできませんでした。

でも時間が経つにつれて、分かってきました。

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いつもニコニコして誰とでも友達になれると自信を持って言っていた姿は、私の本当の姿ではなく、偽りの仮面を何重にも被った姿でした。

31年間の人生の中で、私が「こういう人になりたい」と思って作り上げてきた性格は、自分にとって嘘で塗り固められたものであり、その嘘に自分の気持ちが耐えられなくなった結果起こったのがパニックです。

無理して笑顔を作ったり、周りの人の言葉ばかり考えていました。

その人がどういう言葉を望んでいるのか、どういう風に接したら喜んでくれるかいつも気になったり、本当は怒っていても気にしないフリをして見せたり、人の目を気にしたり。

それは本当は、人に嫌われるのが怖かったからです。

結局私は、誰も信じていませんでした。そして、そのことにすら気づいていなかったんです。

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パニックを治すために心理療法とカウンセリングを両立しました。カウンセリングでは本当の自分の気持ちや性格に気づくように、先生にいろいろな話をしました。

辛いこともたくさんありましたが、自分は本当はどんな人間なのか、どんな性格だったのか、たくさんのことに気づきました。

自分の嫌な面がたくさんあることに気づいた時はとても落ち込みました。否定したい気持ちでいっぱいでしたが、自分に問いただして自覚し、そういうところも私なんだと認めました。

そういう作業をたくさんして、考え方も少しずつ変わってきた頃、昔の私はなんて薄っぺらいものだったんだろう・・・ ということに気づきました。

そうやってできた友だち関係も、なんて薄っぺらいものだったんだろう・・・。

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今は無理をせずに、自分が自分らしくいて、それでもそんな私を好きでいてくれる友達が数人いたらいいじゃない? と思うようになりました。

無理して、自分を作らないと友だちに慣れないような友だちをたくさん持つ意味が、今では分からないくらいです。 そんな簡単なことに、どうして気づかなかったんだろう。

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松尾先生のセラピーは、ソファーに座って目を閉じて、ボーッと話を聞いているだけでした。

初回のセラピーの帰りは、「いつでも乗り降りできるバスで帰るように」と言われましたが、地下鉄に乗ってみたら全く怖くありませんでした。

自覚症状としてセラピーが効いていると感じるわけではありませんが、あんなに怖かった地下鉄が怖くなかったことには、かなり驚きました。

何度もやってもらっているうちに、1,2回深呼吸をすると気持ちが落ち着くのを実感するようにもなりました。

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年末に日本に一時帰国することになり、飛行機に乗る前はもちろん不安な気持ちはありましたが、「大丈夫、大丈夫!」とポジティブに考えているところもあり、全く怖くありませんでした。

帰国中の国内線も含め、6回も飛行機に乗ることになりましたが、こんなに快適に乗れるものなのか! と驚くほどにリラックスできました。

以前の姿を知っている主人も驚いていました。

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松尾先生に「パニック障害は治る」と言われても本当に治るとは思えず、反論したり、怒りをぶつけたりしながら(怒りは恐怖だそうです)、一生この問題が付き纏うものだと思っていましたが、ごく普通に飛行機に乗ることができ感動しました。

この不安や怖さや辛さは、パニック障害を持っている人でないと分からないと思います。

松尾先生には、本当に感謝しています。